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日々のあれこれ

2年半ごしで夢を叶えた話②

ウィーン編はこちら
とうとうやってきた。ルーマニア。
人生で、ルーマニアに来ることがあるなんて考えたこともなかった。
自分にピアノ協奏曲を演奏する機会が巡ってくるなんて夢の夢だと思っていた。
それに、自分のやりたいことはできないという思い込みがあったため、夢は叶わないと思っていた。
でも、叶うときはあっさり叶った。夢は叶うんだ…という不思議な体験をすることができた。

10.16 Vinna→Oradea

やってみたかった陸路での国境越え

ウィーンからルーマニアのオラデアは約600km。ウィーン国際空港で先生と待ち合わせをして、Oradeaからお迎えの車で一気にオラデアを目指す。Google Mapで調べた感じでは6時間ぐらいかかるとあったが、4時間ちょっとで着いた。いい方だったが、めちゃくちゃ飛ばすドライバーさんだった。

めっちゃ飛ばすし一車線の道路で前の車抜かす
border
ハンガリーとルーマニアの国境。パスポートチェックがあった。ドライバーさんが代行。
オラデアは美しい街だった

オーストリア、ハンガリー、ルーマニアと2つの国境を越えたのだけど、オーストリアとハンガリーの国境は高速に乗っている間、知らない間に通過していた。シェンゲン内なのでパスポートチェックなしで移動できるのだ。ハンガリーからルーマニアはパスポートチェックあり。ほったて小屋みたいな国境でパスポートを見せ、特に何も質問されることなく通過。国境からオラデアの街中までは15分か20分ぐらいだった。ハンガリーの国内で高速を降りて普通の街中を走ったのだが、一気に風景が変わる。寂しくなるというか、これが東欧なのだなと思った。ウィーンで見ていた景色とは明らかに違うものだった。

到着したらお祭り騒ぎのオラデアの街

到着したのは夜19時過ぎ。すでに真っ暗だったが、街中がお祭り騒ぎだった。ものすごい人の数で、交通規制が行われていた。宿泊したホテルはお祭りのど真ん中だったのだ。

花火
花火すごかった
ルーマニアビール
ルーマニアビール 味がしっかりしてる

オーケストラの方(指揮者・プロデューサー)と合流して、ホテルの近くのRestaurant Mediteranaというイタリアンのお店へ。日本人の口にあって美味しかった。結論から言うと、ルーマニアでの食事は外れがなく、どれもとても美味しかった。日本人と合っていると思う。ルーマニアのビールもいただいたが、味がしっかりしていて美味しかった。薄いビールが好きな人は無理かも。レストランを出ると花火がはじまり、日本のような繊細さはないがすごい勢いで大量にあがっていた。秋の収穫祭?的なお祭りらしく、その日が最終日だったようだ。

10.17 Oradea

プローベ いよいよオケと合わせる

朝は早めに起きて、ホテルの近くを散歩。朝はちょっと肌寒いがコートは必要ないぐらい。朝食を食べて、出発までは部屋でひたすら楽譜と向き合う。演奏会の会場であるFilarmonica de Stat Oradeaまでは歩いてすぐなので、プローベの時間になってホールに移動。いよいよ来たんだなーという感じ。

room
楽譜を読み込む
Filarmonica de Stat Oradea
Filarmonica de Stat Oradea
ポスター
ポスター!うれしい

プローベは散々の出来で、私はフワフワしていてテンポがオケと合わず、ミスタッチも多く、何なんだ…という感じだった。我ながらひどいなと思った。ここまで来たのに…と。しょんぼりした。

プローベの時間は限られているので、時間いっぱい合わせさせてもらいホールを出て街を散歩。建物の色遣いが独特で、とてもかわいい。お天気も良く、散歩日和だった。さっきの演奏がとんでもなかったので気は気ではなかったが。

そんなに大きい街ではないと思うので、結構歩いて行ける範囲にいろいろなものが集中していた。大通りから少し外れると、あまり舗装されていなかったり、古い建物も目立った。物価は日本より若干安い。ウィーンが高かったので、とても安く感じた。

夜、22時ぐらいからまたホールを借りれるとのことでホールに戻り(暗くて怖かった…)、日付が変わるまで練習。昼間のリハがボロボロだったので先生が厳しく指導してくださる。泣きながらピアノを弾いたのは、あれが最初で最後の経験だと思う。終わってみれば、それもいい思い出。

10.18 Oradea Concert!

いよいよコンサート本番の日、昼からゲネプロなのでこの日も朝早く起きて、昨日のプローベの自分の演奏の動画を見てダメなところを楽譜見ながらチェック。ギリギリまで何をやっているんだ私は…。しかしできないんだから仕方ない。お昼は軽くスープだけにして、ゲネプロへ。ゲネプロもあまりいい出来ではなかった。本番までの数時間、ホールを使わせてもらえるそうで、最後の練習。ギリギリまで練習した。

最高だった

本番が近づき、ドレスに着替えて待つ。演奏はあっという間に終わった。あっという間だったが、どの瞬間もちゃんと覚えている。はっきり言って、本番が今までで一番ちゃんと弾けた。プローベやゲネプロのあの出来は何?というぐらい、ほんとうにちゃんと弾けた。

ピアノの向こう側はコントラバスで、コントラバスの人たちとはまっすぐ見たときに目が合うのだが、コントラバスのリーダーみたいなおじさまがずっと怖い顔をしていたのがプローベやゲネプロの時に気になっていた。へたくそだからよなあ…と思っていたのだけど、本番が終わって、ステージの裏でコントラバスおじさんが「Great!」といってハグをしてくれた。おじさん笑ってくれてよかったぁぁぁぁぁぁぁこわかったかぁぁぁぁ。指揮者の方も、先生も、本番がとても良かったと仰ってくださり、ほっとした。これで終わったし、私の夢が生まれて初めて叶った。

クラシックの演奏会でよくある演奏後一回掃けてもう一回出てくるというやつもやって、あの瞬間だけはピアニストになれたなあと思う。もうピアノに関してはやり切ったので、これでいい。

演奏会後、先生がおつかれさまということでディナーをご馳走してくださった。時間が遅く、ホテルのレストランでいただいたがどれもとても美味しかった。ぼーっとしていたので写真が1枚しかない。

おまけ・滞在ホテル

ホテルはAstoria Grand Hotelに宿泊。今回の旅にあたりインターネットで滞在先のほとんどのことは調べられたが、唯一オラデアは地方都市のため情報がなさすぎて(まあルーマニアだし)、ということで今後のどなたかのためにオラデアのことは詳しめに書いておく。滞在したホテルはオケの方がとってくださっていた。なので文句も言えないのだがルーマニアの4つ星ホテルはこういう感じか…という感想。エレベーターが荷物用?と思うようなシルバーの無機質なもので、めっちゃ狭い。2人+2人分のスーツケースを2回に分けて上げないといけない感じ。そして、建物内・部屋の中に意味不明な段差があり、大きいスーツケースを持っている者にはつらかった。朝食ビュッフェはあまり豊富ではないけど、最低限のものは揃っている。ジュースはいまいちだったけど食事はまずまず。エスプレッソマシーンは壊れていてホットコーヒーしか飲めなかった。

おまけ②・オラデアプチ基本情報

ルーマニアの通貨はLeiだが、ユーロが使えるお店も多く、またクレジットカードが使えるお店が多かったのでLeiへの両替はしなかった(初日に行った※Restaurant Mediteranaはクレジットカード不可・支払いはLeiのみ)。治安は悪くない地方都市という感じだった。女性が夜歩いても基本的には大丈夫。人の面で特に嫌な思いもしなかった。みんなそこそこ陽気で観光客に対して感じも良い。食事はめちゃ美味しいから期待していい。そんな街だった。